株式会社ではない会社ですが、法人契約はできますか?

当社のマンスリーマンションにおいて、法人契約は可能です。

以前掲載したコラムでもあったように、法人とは生物学的な「人」ではないけれども、法律行為の主体(契約の当事者になれる…ぐらいの意味でいいと思います。)になることが認められているものになり、代表的なものには株式会社があります。

みなさんは「株式会社」以外にも「合同会社」などを聞いたことがあるのではないでしょうか?この「合同会社」も会社になります。

今日は会社について簡単に調べてみたいと思います。

会社のことは会社法で規定されてます

会社のことを規定している法律に「会社法」があります。

会社法は比較的歴史の浅い法律で、元々あった商法の一部とその関連する特別法がひとつにまとめられて2006年(平成18年)に施行された法律です。

会社法は会社の設立や運営、清算といった会社の誕生から終了までの一連の流れについてのルールを規定したもので1000条近い条文のあるボリュームのある法律です。

この分野を勉強されている方なら、併せて「商法」や「商業登記法」も勉強しないといけないので…かなり大変です。

会社法の第2条第一号では、会社の定義(会社法の中での「会社」の定義になります)が規定され、さらに、第3条で会社の法人格(法人であると認められること)を規定しています。

これにより、「株式会社」と「合名会社」と「合資会社」と「合同会社」は会社であり、法人と認められています。


会社法第2条

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 会社  株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。

二 ………

三 ………

会社法第3条

会社は、法人とする。


この4つの会社のうち、合名会社、合資会社、合同会社の3つをまとめて「持分会社」と呼ばれています。

株式会社と持分会社の違い

まず、「株式会社」と「持分会社」の違いを簡単に申し上げますと、資本と経営が分離されているのが「株式会社」であり、一体となっているのが「持分会社」になります。

株式会社を例にしますと、会社の資本を出資しているのは会社の株式を引き受けた「株主(社員)」になります。

ただ、株主はその会社の商売に精通しているとは限りません。

そこで、その会社がする商売に精通している人、業務を執行できる人にその会社の運営をお願いすることにします。

このお願いされた人が取締役などの会社の役員になります。

この取締役は会社の最高決定機関である株主の集まり(株主総会)で決定することになります。

このように、株式会社は資本と経営が分離していること(小さな株式会社ですと完全に分離…とはいえませんが…)が特徴です。

これに対して、持分会社は会社に資本を出資した人と会社を運営する人が一致するのが特徴です。

たとえば、合同会社においては、社員は金銭や財産などを出資しなければなりませんが、この会社の業務の執行・運営するのは出資をした社員になります。

なお、ここでいう「社員」とは、世間一般でいうところの従業員という意味ではなく、「会社のえらい人」のようなイメージがいいと思います。

直接責任・間接責任・無限責任・有限責任

では、持分会社の合名会社、合資会社、合同会社のそれぞれの違いは何でしょうか?

それは、その会社の社員が①直接無限責任社員、②直接有限責任社員、③間接有限責任社員のいずれに該当するか、によります。

まず、この①・②・③のキーワードにある「直接」と「間接」の違いですが、会社が負った債務を社員も同様に責任を負わなければならないのが「直接責任社員」になります。

ですので、会社の債権者は、会社に請求することもできますし、社員に請求することもできることになります。

これに対して社員が責任を負わない(つまり、債権者は社員には請求できない。会社(の財産)のみに請求できる。)のが「間接責任社員」になります。

次に、①・②・③のキーワードにある「無限」と「有限」の違いですが、会社が負った債務について社員がすべてを限度なく責任を負わなければならないのが「無限責任社員」になります。

これに対してすでに出資した金額だけ、または、あらかじめ決められた金額までだけの責任しか負わない社員を「有限責任社員」となります。

以上を踏まえると、もし会社が債務を支払えなかったときには、


①直接無限責任社員:

当該社員はその債務をすべて支払う責任がある。会社の債権者から直接責任追及を受ける。

なお、出資するものは金銭などの財産だけではなく労務や信用も出資することができます。

②直接有限責任社員:

当該社員はあらかじめ定められた金額までは支払う責任がある。会社の債権者から直接責任追及を受ける。

なお、出資は金銭などの財産だけに限りますが、その全額を出資している必要はありません。

③間接有限責任社員:

当該社員はすでに会社に出資した金額だけの責任で済む。会社の債権者から直接責任追及は受けない。

なお、出資は金銭などの財産だけに限られ、その全額が出資されている必要があります。


持分会社のそれぞれの違いは?

この社員の区分をもとに、「合名会社」は①直接無限責任社員だけで構成されます。

「合資会社」は①直接無限責任社員と②直接有限責任社員が混在して構成される会社です。

そして、「合同会社」は③間接有限責任社員だけで構成される会社になります。

ちなみに、株式会社の社員(株主という意味です)は③間接有限責任社員に該当します。

特に「合同会社」と「株式会社」は有限責任社員の集まりですので、会社の債権者にとって頼りになるものは会社の財産だけになります。

社員に対して「払って!」と請求ができません。

そのため、「合同会社」と「株式会社」については資本金の額を会社登記簿に登記しなければならないことになります。

これとは反対に、「合名会社」と「合資会社」では資本金の概念がなく、会社の債権者は直接に社員に請求ができます。

そのため、「合名会社」と「合資会社」についてはその社員の氏名だけでなく住所も会社登記簿に登記しなければなりません。

このようにして債権者保護が図られています。

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